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採用情報

Project Z

a track of carring out their mission
あるプロジェクトの軌跡

Goal 地球の裏側で、ZUIKOのマシンを稼動させる

Mission.1 メキシコからの受注を獲得せよ

若葉が目にまぶしくうつる4月、営業部に1本の電話が入った。メキシコの衛生用品メーカーからだった。至急、紙おむつ製造機の見積とラフな図面を送ってほしいとのこと。当然、競合する他社にも同じ依頼をしているはずだ。
先方から送られてきた簡単な仕様書と紙おむつのサンプルをもとに、宇谷(機械設計)は、生産効率を重視したZUIKOならではのノウハウを詰め込んだ図面を描いた。さらに、先方のニーズを満たすために必要な機能をもったユニット(※1)や部品を、原価計算しながら選出し、可能な限り低コストな見積を出せるよう工夫した。精度や生産効率なら他社に負けない絶対の自信がある。あとは価格の問題となるだろう。最善を尽くした後は、営業から良い知らせが届くのを信じて待つばかりであった。

Mission.2 プロジェクトを始動せよ

例のメキシコのメーカーから正式に受注が決まった…宇谷のもとにその知らせが届いたとき、すでに6月の足音が聞こえていた。
宇谷が感慨にひたる間もなく、プロジェクトチームが編成される。機械設計には宇谷ただ1名。電気設計は大作、機械の組立・試運転は、伊瀬のチームが担当することとなった。宇谷は、前回自分が引いたレイアウトや先方から渡された仕様書、製品サンプルなどを見せながら、大作と伊瀬に意見を聞き、仕様の細部を詰めてゆく。宇谷は少し焦っていた。見積段階では、試作品などつくったりすることはできない。実際にユニットを動かしたり、素材を加工させてみなければ分からない不具合がある。納期は11月。海外の案件の場合、出荷の日が決まっているため、予定を後ろにずらすことは難しい。3人の打ち合わせもだんだんと熱を帯びていく。

Mission.3 サーボモータの回転を支配せよ

仕様書と宇谷の作成した図面をもとに、大作は電気制御のプログラミングと周辺のハード設計に取りかかる。8月後半に入って、サーボモータのプログラミングを始めると、まさかの試練に見舞われた。どうしてもサーボモータの回転速度が思ったように調整できないのだ。数週間後に迫った試運転には、クライアント(お客様)も参加する。「間に合うか…?」大作は、焦りと不安に苛まれながら、必死で原因を探った。
そして、壁にぶつがること2週間。原因究明に明け暮れていた大作に光明が差す。実は、これまで使用してきたメーカーの製品ではなく、初めて他社製のサーボモータを採用しており、操作方法が異なることが原因となっていたのだ。「これで試運転に間に合う…。」その夜、解決の糸口を見つけた大作は安堵と疲労感で自宅のベッドで深い眠りについた。

Mission.4 日本での試運転を成功させよ

組立チームは、全長30~50m製造機の組立を、たった3~5人という少人数で行なう。そして、完成したユニットを動かしてみて、不具合があればそれが電気的問題(プログラムや配線など)によるものなのか、機構的問題によるものなのかを見極める。基本的には現場で対処するが、根本から修正が必要と判断した場合は、機械設計の担当者に差し戻す。無駄な時間は1秒たりともない。設計と部品製作が済んだユニットから即作業に入る。
期限が差し迫るなか、伊瀬には気に掛かることがあった。日本製の紙おむつには、吸水性ポリマーをまとめるため、ティッシュペーパーのような極薄紙で包むという工程がある。だが、クライアント製品の仕様では、その工程が省かれている。そのため、製品本体に散布する段階で、通常よりも多くこぼれ落ちてしまうのだ。仕様上の問題なのだが、伊瀬はどうしてもこれを見過ごせなかった。そして、散布口の角度を微調整するなど手作業で試行錯誤を重ねた末、とうとうこぼれ落ちる量を極限まで減らすことに成功した。
9月下旬、はるばる日本までやってきたクライアントらは、2週間に渡る滞在の最後の日、ZUIKOメンバーを招いて試運転の成功を祝うパーティーを開いた。全員の顔から、満足感と達成感からくる笑みがこぼれていた。

Mission.5 クライアントの検収に合格せよ

10月初旬、伊瀬と大作を含む4人のメンバーがメキシコへと飛び立った。輸送のために一度ばらしたユニットや部品はすでに設置現場に届いて組み立てられ(※2)、彼らの到着を待っているはずだ。現場入りしてすぐに、大作はIOチェック(※3)を行なう。問題ない。次に、すべてのサーボモータが同期できているかを確かめる。すると、大作の顔が曇った。「ありえないほどノイズが出てる!」日本であれだけうまくいっていただけにショックは大きい。数時間後、再度配線を確認していた大作は叫んだ。「電気と通信が同じケーブルを通ってる!(※4)」結局、このタイミングで気付けたため事なきを得たが、配線確認を怠っていたら…と考えると、ヒヤリとした。

一方、伊瀬は品質管理責任者から厳しいチェックを受けていた。紙おむつのギャザー部分に入っている糸ゴムの微妙なピッチやテンションに至るまで、完璧に規格を満たす製品がつくられるよう調整を重ねる日々が続く。
そして11月、検収(※5)のときを迎えた。2時間の間ずっと、生産能力をMAXにして機械を稼動させ、実際に製品を製造するのだ。生産能力・仕様・品質すべてが要件を満たしていなければならない。
――――検収当日の夕方、出社直後の宇谷のもとに15時間の時差を超えて、メキシコから電話が掛かってきた。大作だ。「宇谷さん、やりましたよ!検収、OKです!!」初のプロジェクトが成功して、喜びを抑えられない様子だ。宇谷は大作をねぎらうと、静かに受話器を置いた。そして、地球の裏側で元気に稼動する“自分の子ども”に想いを馳せるのだった。

エピローグ

伊瀬は、仕事の都合で一足先に日本へ帰国しなければならなかった。20名ものクライアント側のメンバーは、有志で集まり伊瀬のための送別会を開いた。宴もたけなわの頃、品質管理責任者のA氏が言う。
「伊瀬!お前は俺たちの先生だ。」思い掛けない言葉に、伊瀬は一瞬きょとんとする。そして、周囲から浴びせられる「Gracias(ありがとう)!」の声に、胸がいっぱいで言葉がでない。いよいよ彼らに別れを告げなければならなくなったとき、A氏は「Amigo(友よ)!」と叫んで伊瀬を抱き締めた。次々に他のメンバーも伊瀬と抱擁を交わす。A氏は泣いていた。鼻の奥がツンとして、目頭が熱くなる。
やがてゆっくりと、しかし力強い足取りで、伊瀬は帰路へと続く道を歩き出した。何度も振り返り、手を振って別れを惜しみながら・・・。

  • ZUIKOの機械=生産ラインは、それぞれに機能を有する複数のパート=ユニットに分けられる。
  • 機械を納品する際、ZUIKOメンバーが再度ユニットを組み立て、配線までを行うのが通常のフローだが、この案件についてはクライアント側で組立および配線まで行なってくれていた。
  • 電源がちゃんと入るかどうかをテストすること。
  • 現在、電気配線を通信回路として利用できる電力線搬送通信(Power Line Communications)の技術開発が進んでいる。しかし、家庭用とは違い、精密機械を制御するFAなどには、わずかな電圧のブレが深刻な影響をもたらすため、日本の生産現場では一部取り入れられているものの、まだすべてに導入できるレベルには至っていない。
  • 納入品の仕様や性能がクライアントの要求を満たしているかどうか確かめるための検査のこと。支払いは検収が済んでからになる。
  • 2000年入社 技術職群(機械設計) 宇谷 晃司 UTANI KOUJI
  • 2004年入社 製造職群(組立) 伊瀬 裕介 ISE YUSUKE
  • 2008年入社 技術職群(電気設計) 大作 昌弥 OSAKU MASAYA